24歳⑥
そういえば家の中のことを忘れてた。
家の中は、変わらずお父さんとおばあちゃんが認知症だった。
このころには完璧に両方がひどくなってたと思う。
お父さんもおばあちゃんも食事やトイレでいろいろやらかす。
そしてお母さんがぶちぎれたり、ヒステリックを起こす。
施設に入れたら、と言うとあんたは何も分かってないしそんなお金はないと言われる。
私はずっと手伝わなかった。
見たくなかった。
触れたくなかった。
助けたい気持ちもあったけどそのきもちも殺した。
結果的に家の中への関心は無だった。
おばあちゃんはよく、ボケて憎しみを独り言でぼそぼそ念仏のように唱えてた。
それがたまらなくうざかった。
口をくちゃくちゃするのもうざかった。
お父さんは私の目を見て、目が合うと微笑んだ。
私はそのほほえみで今までの出来事がフラッシュバックされた。
だから辛くて、怒りがわいて、こっちみんな!!!と叫んだ。
お父さんはそれに対して怒ったり、悲しそうだった。
私はなんだか心が壊れそうだった。
壊れそうだったから、見ないようにしないといけなかった。
死にたくなるから。
悲しさに襲われてしまうから。
家の中のことは誰にも言えなかった。