26歳②

私は本当はたつくんに助けてほしかった。

辛いよねってぎゅーってしてほしかった。

俺と一緒になろうよって私を地獄から救い出してほしかった。

 

家は地獄。

たつくんの存在も地獄な時が多かった。

 

 

年が明けて、事件が起きた。

私がセルフでまつげエクステをつけてる時だった。

ピンセットでやらずに、素手でやってたから、

指からポトッと接着剤のついたまつげが目の中に入った。

その瞬間、激痛が走った。

痛すぎて、すぐにそのまつげを目からとった。

 

接着剤が私の目の中で一瞬固まって、そのままはがしたから、

角膜?まではがれてしまった。

激痛すぎて、涙が止まらなくて、大泣きした。

 

わんわん泣く私を見て、お母さんはすぐ緊急で病院に連れてってくれた。

もう22時くらいだった。

緊急で処置してもらって、なんとか帰って、次の日に眼科に行った。

そして、無事に治った。

まじで痛かった。

 

そして、年が明けた2月に、おばあちゃんが天国に行った。

老衰だった。

悲しかった。

久しぶりに身内が死んだ。

死体ってやっぱ冷たいなって思った。

 

お母さんは、いつもおばあちゃんのとこに通って、

寿命が長くなるように、手をつないで念を送ってた。

 

お母さんは、おばあちゃんのこと、大好きだったよね。

大好きで大好きで、憎しみも見たくないくらいだったよね。

だけど、お母さんはおばあちゃんと両想いじゃなかったよね。

寂しかったんでしょ、ずっと怒ってたんでしょ。

殺意をずっと見なかったよね。

私は全部、知ってたよ。

 

 

これで私は、おじいちゃんとおばあちゃんが完全にいなくなった。

お父さんの方のおじいちゃんとおばあちゃんは最初からいなかったから。

親戚も、いとこもいない。

数少ない身内が、どんどんいなくなるなあって思った。

 

 

あれ、お父さんこの時まだ家にいたっけ。

週2くらいでデイサービス行ってたんだっけ。

家族の事、本当に思い出せない。

 

姪っ子とかも、妊娠とかの報告を受けても、全然興味がなかった。

可愛いし大好きだけど、いつの間にか生まれてるって感じだった。

 

私はずっと家族から逃げてたんだと思う。

記憶が全然飛んでるから。

 

 

こうやって過去を振り返ってみて本当に思う。

外側でたくさん問題作って、私は生きてたなって。

ずっと、家族から、お母さんから、お父さんから逃げてたなって。

 

見たくなくて、触れたくなくて、言ったところで傷つけられるだけで、

私の中で消すしかなかったんだと思う。

 

 

ああ悲しいな。悲しい。

悲しくなっちゃった。