22歳③
冬になるころには、クラブばかり行くようになった。
クラブは、頭をガツンと吹き飛ばせて、最高に楽しかった。
週末は、クラブかキャバクラに出勤してた。
キャバクラもまるでやる気がなかった。
でも適当に話しておけば、簡単にお金が手に入るから、最高だった。
キャバクラで、2人の出会いがあった。
1人はだいぽん。
だいぽんが客として入る時に、なんかイケメンがきた!!と思った。
だいぽんは私と同い年だった。
こんなイケメンが同い年にいるとは知らなかった。
私はたまたまだいぽんにつくことになったから、たくさん話した。
このチャンスを見逃すわけにはいかねえ、と思って、連絡先を好感した。
もう1人はかずまだった。
顔がいけめんの方だと思った。少しタイプだった。
だから連絡先を交換した。
私は両方を同時進行で連絡をとってた。
一人だけ見て一途でいるとどえらい傷つくことになると身をもって知ったから。
2人同時進行は、片方が不安になっても、片方に意識を向けられるからよかった。
だいぽんは初めて遊んで、だいぽんの家に行って、そのまま関係をもった。
私はだいぽんにぞっこんだった。
大好きで、ずっと追いかけた。
ずっと、セフレだった。
だいぽんは私によく、要注意人物と言ってきた。
だいぽんのチャラさや話し方は、非常に勉強になった。
こういう言い方をすれば、相手をときめかせて、きゅんってさせられるんだって。
私はだいぽんと同じことをだいぽんにしてただけなのに、だいぽんは私を警戒してた。
私は傷つかないように、お金もなるべく払わないようにしてた。
少しでも心がえぐられないように。
かずまは、しばらくは遊んでもそういう風にはならなかった。
ずっと連絡はとってた。
かずまは、ザ!男です、みたいな感じが好きだった。
私はなよなよ弱しい奴が嫌いだったから、男っぽい中身の人が好きだった。
かずまにも、心が惹かれてた。
あと、アプリで出会った人とも遊んだけど、これはしっくりこなくてそれ以降あわなかった。
私は、2月ごろに、仕事で心の限界を迎えた。
途中で一緒の事務員だったおっさんがクビになって、ストレスから解放されたけど、
そのおかげで私に仕事がふりかかった。
社長は私に、総合職を希望してたけど、この安い給料でそんなことを求められても本当に困った。
だんだんやる気がなくなって、消耗していった。
社長は、めちゃくちゃ高級なレストランに連れてってくれたりした。
ワインをガバ飲みする私に喜んでくれた。
色々お勉強になった。
お父さんみたいな存在だった。
でも、私はやめる事にした。
社長に、そんな暗い態度しないでくれ、と言われるくらい、態度に鬱を出してた。
私がもうやめたいと伝えると、次の日にはやめさせてくれた。
私は解放された。
やめる少し前に、派遣の登録をしにいった。
すぐに仕事を紹介された。
それもあって、すぐにやめたかった。
次の仕事が始まるまでは、少し時間があった。
また飲みに行ったり、遊んだりした。
そういえば家の中では、おばあちゃんがだんだんと認知症になっていった。
お父さんとおばあちゃんの認知症が分かりやすくはじまっていた。
部屋の中で、椅子に座り続けるおばあちゃん、寝てるお父さん、お母さんがいつもいた。
私は、本当は地獄を感じてた。
見たくなかったし、そこにいたくなかった。
逃げたかった。
それに、逃げてた。
だからこそ、この辺の記憶が乏しい。
家の中のことの記憶は乏しい。
あの時は心がバグってたけど、毎日憂鬱だったと思う。
暗かった。家の中が。
お父さんにもおばあちゃんにもお母さんにもイライラした。
高齢者から逃げたかった。
刺激が欲しかった。
つまらなかった。
居場所は相変わらずなかった。
私は外に外に刺激を求め続けた。
3月も終わり、4月になった。