23歳①
23歳の1年間は本当にいろんなことがあった。
楽しかったし、最悪だったし、地獄だったし、最高だった。
人生をかけぬけたと思う。
かけぬけた先には、やっぱり地獄と孤独があった。
とても濃い1年だった。
春になって、新しい会社がはじまった。
大手の企業での派遣のお仕事だった。
私は新卒よりも若かった。
新しい環境になって、私はコミュ障と人見知りが爆発した。
春になって少し太ったから、着れる服がダサかったと思う。
フロアにはたくさんの人がいた。
私は怖かった。
まず仕事の話をすると、入ってすぐに引継ぎがあった。
元々いた派遣さんから引継ぎを受けた。
その派遣さんはめちゃくちゃ意地悪で、私を見下してすぐにめんどくさそうにイライラされた。
私は初めての事ばかりでよく分からなくて、すぐ間違えたり覚えられなかった。
みんなにあいさつしなくていいのかな、とか思ってたけど、引継ぎの人は何もサポートしてくれなかった。
私はこの引継ぎの女の人を、うなずき方がきもかったから、バウンディングクソババァと呼んでた。
ブスで出っ歯でデブで服が壊滅的にださいのに、なんでこんなクソババァに意地悪されないといけないんだろうって思ってた。
男を紹介されたけどしっくりこなかったとか言ってたけど、てめーみたいなブスが選ぶな謝れって思ってた。
1ヶ月くらいしたら、バウンディングクソババァは消えた。
同じ室の人たちは、みんな私に優しかった。
優しいのに、私は声をかけるのがいつも怖かった。
人が怖くて、話しかけられなくて、私を見て、微動だに動かないという人もいた。
こんな私にみんな優しくしてくれるのが、余計に申し訳なかった。
同じ室の男の子はみんな年上だった。
でも私は最初から心を閉鎖してたから、恋愛としては見てなかった。
変な噂話とかが怖いから、会社では一切恋愛はしない!って決めてた。
でも1人、同じ室の男の子で、めちゃくちゃイケメンがいた。
ずっと、かっこいいなあって思ってた。
かっこいいから、かっこいいと思うだけでよかった。
近づいたら振られちゃうの怖いしって思ってた。
同じグループの一人のおじさんは、いつも情緒が不安定で、話が長いし、
みんなの前で私のことを怒るから、すごく嫌いだった。
私とそのおじさんがやり合ってるってよく言われた。
恥ずかしいから本当にやめてほしかった。
上司をはさまずに、嫌な仕事を押し付けられるっていうのがよくあった。
私は人に聞いたり報告するのがこわくて苦手だったから、
ミスをするたびに自分でどうにかしようとして、怒られた。
人がたくさんいる環境は私にとってストレスでいっぱいだった。
ある時、そのおじさんの言葉で泣けてきてしまった。
トイレで泣くことはよくあったけど、隣の席の秘書さんにばれてしまった。
隣の秘書さんは、私にいつも神様のように優しかった。
綺麗で美しくてお上品でおしゃれで、ずっと私のあこがれだった。
隣の秘書さんにはずっと話しかけた。
こんなお母さんいたらいいなって思ってた。
私が泣いてて、心配してくれて、そしたらみんなに泣いたのがばれてしまった。
色んな人が心配してくれた。気が付かなくてごめんねって。
またそれにも泣けた。
私は自分からしゃべらないのに、どうしてこんな優しいんだろうって。
部長がこっそり、私の席に飴をおいとてくれた。泣いた。
フロアにはたくさんの人がいたから、私はよく話しかけられた。
最初の方はどう接したらいいのか分からなかったけど、
途中から、すごく楽しそうで優しくて聞き上手で明るい私でいたら、
みんな私に優しくしてくれて、好かれるということが分かった。
天使キャラの爆誕だった。
そこから私は話しかけられる時は、天使キャラでいた。
私はお腹がぽっこり出てたから、同じ室の男の子に、今日私のお腹が出てる!!と言われてた事を知った。
私はさすがに恥ずかしくなって、ダイエットをまたはじめた。
私は仕事場に、おしゃれとかかわいいとかそういう自分ではなく、
自分らしく薄化粧でいこう、と思ってたけど、
どうやらそうじゃない方が、チヤホヤされる気がして、
毎日髪を巻いて、可愛い服を着て、カラコンをして、メイクして会社に行くようになった。
そしたら、まーーーー調子乗るくらいにチヤホヤされるようになった。
私はあいかわらず、微動だに動かないし、しゃべらないし、
お昼はデスクで一人でご飯食べてるから、陰でミステリアスと言われるようになった。
若い男の子たちの間で、私のファンクラブもできた。
めちゃくちゃ、調子に乗った。笑
あんな馬鹿にされて地獄のような人生と扱いをされてたのに、
環境や自分を変えるだけでこんなに変わるものなのかと思い知った。
たくさん、飲み会に誘われるようになった。
会社では無口でおとなしい私だけど、飲み会になるとイキりまくってた。