高校1年生

お母さんはお父さんに対等にキレるようになってた。

憎しみと強い怒りと激しさと、どこかに甘えと優越感を感じた。

それを見るのがいつも腹が立って殺意がわいた。

私がお父さんを殴ろうとすると、いつもお母さんは止めた。

あんたはやめときなって。

本当はお父さんもお母さんもぶん殴って家の中ぐっしゃぐしゃにして、神棚の水鏡を割ってやりたかった。

神様がなんだ。毎日拝んで、なんで今こうなってるんだ。

死ね死ね死ね死ね死ね、そんな気持ちでいっぱい。

 

小学校も中学校も、家の中のことを話したことはなかった。

無意識に、だった。

言っちゃいけない、ばれたらいけないような気がした。

言ったら言ったで、親がものすごい目で見られて、処刑されるなって。

結局私もそのとばっちりを食らうとも思ったし、

私ができることなんてなくて、諦めて今を生きるしかないんだって思ってた。

 

家の中の本当の事を言う代わりに、

私は違う事で大泣きしたり、友達に死にたいと言ったりした。

友達はそんな私を病んでる変わった子、のような目で見てた。

私は助けてほしかったし、気づいてほしかった。

 

そんな目に合ってるの、そんなことするの許せないって。

私にものすごく心配をしてほしかった。

 

ずっとずっと、幼稚園の時からずっと。

 

 

引っ越してから、お母さんがおじいちゃんち(今私が住んでる家)にご飯を届けるようになった。

おじいちゃんたちの事はその時は嫌いではなかったけど、無、だった。

今日はいいや、今日はいいやって、会う事をずっと後回しにしてた。

億劫で、めんどくさい気持ちもあった。

それどころじゃない、何もしたくないという気持ちもあった。

もっとおじいちゃんに会っておけばよかった。

でもそんな余裕は私になかった。

 

 

 

高校は電車で通学した。

ブレザーで可愛い制服だった。

新しい環境にワクワクした。

クラスが14クラスもあったから、体育館には見渡す限り知らない人だらけで、不思議な気持ちになった。

転校の時の地獄とは違うものだった。

みんな、ほとんどみんな初めまして同士だったから。

 

 

私は同じクラスの女の子に(無理して)いっぱい話しかけた。

体育館で隣の席だった子が、たまたまその子の親友の子を私がメールしてたから、知ってる子だった。

みほだった。

ある子が目に留まった。

目がおっきくて、すっごい可愛い子だった。

ななみだった。

私はすぐ話しかけた。アドレスも聞いた。

(ななみとみほと初めて会った時のこと思い出したら泣けてきちゃった。)

ななみは不愛想だった。

 

 

いっぱいいっぱい、みんなにフレンドリーに話しかけた。

それで、帰ってから、病んで大泣きした。

 

次の日から学校に行きたくなくなった。

一生懸命フレンドリーにしたけど、それがゆえになんか怖くなってしまった。

いつも私はこうなる。

この時はとくに頑張ったから、とくに怖くなった。

 

クラスでは、ななみとみほとあいりの4人でいつも一緒にいた。

高校生らしくて、すごくなんか、良かった。

入学して早々、登山や、宿泊のイベントがあった。

 

みんなでコイバナしたり、ななみは同じクラスの男に振られて撃沈したり、

楽しかったなあ。

あいりの家が高校から近かったから、よくあいりの家に集まった。

 

1年生はみんな部活に入らないといけなくて、私は調理部に入った。

同じクラスのはるなも、調理部だった。

はるなは同じグループではなかったけど、仲良くしてた。

 

私は高校でも、クラスの子みんなに声をかけて色んな子と仲良くしてた。

 

 

私は高校に入る前、SNSで同じ高校に通う子、何人かと絡んでた。

その中の一人で、隣の中学のみさとがいた。

みさととは、高校が始まる前の中学の時に遊んだりした。

みさとは天使のように優しくて、良い子で、白くてかわいくて、乃木坂みたいで、お父さんを亡くしてて、母親がどえらい毒親だった。

 

私は高校で、みさとと通学してた。

みさとの中学では同じ高校の女の子がいなくて、私と同じ中学の子たちに入れてあげてた。

みさとともいつもコイバナをした。

みさとはいつも私を励ましてくれて、なんでも話を聞いてくれた。

でも、とても繊細で簡単に壊れてしまいそうな子だった。

 

 

同じ中学から一緒の高校になった子たちは、ありさ含めて、みんな癖が強かった。

私は承認欲求の化け物だったから、どうにかして痩せて可愛くなって、

モテて今までの人生を大逆転させたいと思った。

でも、私の過食は悪化するばかりだった。

 

 

クラスはとても楽しかった。

女の子も意地悪な子がいなかった。

男子も、超恋愛依存な私からしたら新規発展で気になる人がたくさんできた。

 

私は同じクラスのたれ目の背が高い男の子を好きになった。

優しい奴だった。

そいつとは、一緒にお祭りにいった。

初めて男の子とお祭りに行った。

そいつは歩きながら、私を内輪であおいでくれたりした。

地元のアピタでプリクラも撮った。

めっちゃ好きだった。

メールでは死ぬほど話せるのに、帰り道も一緒なのに、いつも面と向かっては話せなかった。

夏に電話で告白した。

振られた。

それがクラスの男子に知れ渡って、恥ずかしかった。

でも、中学の時のような地獄ではなかったから、乗り越えられた。

その男の子も優しかったから。

ただ、その男の子といつも一緒にいるチェホンマンにクソ似てる男がいちいちそれを出してきて、こいつの事がすごく嫌いだった。

 

 

そういえば中3の時の級長やった時の相方の男の話を忘れてた。

 

 

そいつは、高1の4月に入ってから、会った時に告白した。

でも、上下関係がいつのまにかできてたから、

「えーーーー、どうしようかなーー」と、上から言われた。

私は、お願い!!!って言った。

そしたら、「じゃああと6キロは痩せてね」って言われた。

それで、付き合った。

私はすごく嬉しかった。

ネットの彼氏ぶりに、初めて彼氏ができた。

私もやっとみんなみたいに楽しくデートしたりすることができるって舞い上がった。

2日後にそいつの誕生日だった。

私はすぐさまお揃いの香水を買いに行った。

ケーキも作った。

私の家にオーブンがなかったから、電子レンジを駆使して作った。