24歳④
私の誤作動は本当にひどかった。
同じ室の憧れの男の先輩を、酔った勢いで呼び出して、飲んで振り回したり、
元カレとまた連絡をとって、元カレの飲み会に行って、元カレを無視しながら別の男と話してお金を払わずに帰ったり、
元カレを断られるのを分かってて、お前を利用してるんだよ、のメッセージを届けたくて、帰りの迎えを頼んだりした。
腐ってた。
地元の男の先輩とよく飲むようになった。
ここと繋がることを、ゆうきが死ぬほどに嫌がるの分かってたから。
ゆうきへの復讐だった。
ゆうきが忘れられないまま、年が明けた。
年が明けて、さらなる大事件が起きた。
この年は本当に散々だったよ。よく生きてたよ私は。
同じ会社の派遣の女の子が、急に私に謝ってきた。
女の子が真剣に話してくるから、私はバカだから許してしまった。
その後に、女の子は私に相談した。
私の大好きな女の先輩と付き合ってる男が、その女の子と浮気してる、ということだった。
その女の子はさすがにやばいしひどいと思って、どうにかしたくて、という事で私に相談してきた。
私はバカだったから、すぐに許せないってなって、その女の先輩を呼び出して、2人で報告した。
でもその女の先輩は、事実をちゃんと見ないと信じれない、と言ってた。
後日、とんでもないことを知った。
その女の先輩が、その彼氏のスマホを見たことからはじまった。
私たちは女の子と浮気してると思ったのに、
発覚したのは、会社の既婚者の女性と不倫してたことだった。
女の先輩は、そのラインのデータをバックアップして、(すげえ)
本人にたたきつけたらしい。
ここから、どんどん私は巻き込まれてくことになった。
その彼氏の男が、私ともう1人の派遣の子が興味本位でそういう話を言いふらしてる、
嘘を言いふらしてる、と私たちのせいにした。
そいつはすごく人脈があったから、私は私たちの事を悪く言われると思った。
それと、私達は一部の女性たちから嫌われてることを知ってたから。
もう1人の女の子の方が嫌われてたけど、
会社の飲み会とかで、男と話してる私達を見て、キャバクラかよ、とか、悪口を言ってたらしい。
そういうのも知ってたから、私は中2のハブられ事件含め、
色んな過去がフラッシュバックして、
”何されるか分からない、突き落とされるか分からない”
という恐怖でいっぱいになった。
次の日から、会社が怖くなった。
同じ室にその既婚女性も、彼氏の男もいたから。
その彼氏と、派遣の女の子と、わたしで話し合う事になった。
でも、その男は、とぼけた。
俺は何も知らないし、何も言いふらしてないよ?って。
派遣の女の子はめちゃくちゃ怒ってた。
その男がとぼけながら、私達を見下して、心の中で笑ってる気がした。
その後も、私たちが何か言われてる噂を聞いた。
私は誰も信じられなくて怖かった。
同じフロアにはすぐ悪口を言いふらす女がいたし、彼氏の男はその女とすごく仲が良かったから。
私は会社に行きたくなくなった。
家で泣くようになった。
パニックを起こしてた。
そしたらお母さんが私の話を聞いて、ブチぎれた。
私はむしろお母さんのブチぎれを待ってたのだと思う。
私のチクリ病がご無沙汰に発動した。
その彼氏の男は、県の知事の息子だった。
だから、お母さんは、その事務所に電話して、あなたの息子が、という電話をした。
お母さんも頭がキレるクソ性格悪いヤツだったから、陥れ方をよく知っていた。
でも、私は言わせようとした反面、
急に怖くなって、なんでそこまでしたのってなった。
また中2の時の絶望を味わった。
お母さんは私に相談する前に、電話したから。
電話したのは、私が会社にいる時だった。
その連絡を聞いて、私は派遣の女の子にどうしよう!!
親が!!と相談した。
でも女の子は爆笑して、最高じゃん!!
私の親まじで最高だね!!ざまあみろじゃん!!と言ってた。
その日の帰りに、その彼氏から急に呼び出されて、
青ざめた顔と半泣きの様子で私に、事務所から私の親から連絡が来たと言われたんだけど、と言われた。
私はとぼけといた。
派遣の女の子とは、ずっと仲が悪かったのに、
この事件から急に距離が近くなった。
会社内のスカイプのチャットで、毎日悪口を送り合ったり、深い話をした。
悪口送りすぎて、私は本当にアホだから、それを彼氏の男に読まれてバラされることが何回もあった。
でも、もうなんでもいいやって感じだった。
私が誤作動起こすと、何もかもぶっ壊してしまう。
自分ごと。
その後にまた、私は陰で私の親が電話をかけてきたと言いふらされた。
親は電話でこの電話の事はお互い誰にも言わないように、と言っておいたはずなのに。
私が悪者のように、基地外のように、
私はメンヘラで頭がおかしい、と言われるようになった。
私は心が真っ暗だった。
チクリ魔といわれることは昔から恐怖だったから。
私がつくりあげた人脈が簡単にこうやって手のひら返される事も。
でも、表向きはみんな普通に接してきた。
でも私は怖かった。
私は頭も体も硬直して、1日に水筒を3回も倒してデスクをお茶まみれにした。
それくらいおかしくなってた。
3回目は誰も手伝ってくれなかった。
私はこの時、自分がADHDなんじゃないかと思ってたから、
個人的に買ったADHDにきくであろう薬を飲んでた。
その薬のせいで、めちゃくちゃ攻撃的な気持ちになって、
殺意が芽生えたり泣けてきたり、ひどいPMSみたいになってた。
それで、トイレに泣きに行った。
戻ってきたら、年上の派遣の女がいて、
大きな声で、どうしたのおお~~~泣いてる!!と言われた。
こいつが性格悪いのは知ってた。
全部わざとなのも知ってた。
ここで復讐されたことも分かった。
私の室の目の前でやられたから、すぐに私が泣いてるってみんなに回った。
私はもうなんか、パニックだった。
この期間の間に、部長の飲み会があって、その彼氏の男も、意地悪な女もいたけど、
優しくされればされるほど、私はパニックになった。
そして私の中で何かがぷつりと切れた。
優しくていい子で天使な私が
本当は陰で悪口を言って、人のうわさを言いふらして、
親にちくって事務所に電話させる、
そんな変なやつだと思われてる
その恐怖がすごかった。
色んな記憶がよみがえった。
チヤホヤされて可愛いと言われた私が
フロア全ての人から一気に手のひらを返されたような気持になった。
そんなこともなかったのに。
でも誰も信じられなかった。
私は壊れてたから、大好きだった女の先輩がこっそり教えてくれることも、
同じ派遣の子にツーツーに話してた。
誰かを裏切って、信用して、壊して、もう何がなんだかわからなかった。
誰かに殺されるような、そんな気もしたし、
こんなことをしてる反面、罪悪感と恐怖がすごかった。
私はもう会社に行けないと思った。
派遣の営業の人に相談して、次の日から会社に行くのをやめた。
もう1人の女の子は会社に残った。
次の日、午前中だけこっそり荷物をとりにいった。
秘書さんと、派遣の女の子が会いに来てくれた。
私はそこでその会社の派遣が終わった。
今でも覚えてる。
まだ癒えてもないと思う。
色んなものを一気に失った時だった。
深い傷を負った時だった。
壊れて壊れて全部壊れた瞬間だった。
でも、やっと会社をやめられる、そんな解放感もあった。