お父さんの逮捕

そういえば、専門に入る前だったかな。

まだマンションにいる時のことを思い出した。

 

お父さんはマンションでも問題のある人だった。

お父さんにとって腹がたつことがあると、すぐに怒鳴ったり怒ったり責めたり、脅したりしてた。

だから、隣の奥さんはお父さんにいつも殺意を持ってたと思うし、

同じマンションの姉妹には、お父さんが枝切りばさみ?大きいハサミのやつを向けて脅したりして、お母さんはいつも頭を下げに行ってた。

お母さんは、私がしりぬぐいをしてる、と愚痴っていたけど、まんざら嫌じゃないんじゃないのっていつも思ってた。

そうやってお父さんを見下せれて、自分が犠牲になる事にむしろ嬉しいんじゃないのって。

 

 

で、ある時、お父さんがいった床屋で、お父さんが店主を脅したか、殴ったか、真相は分からないけど、被害届を出されて、逮捕された。

お父さんが少しの間いなくなった。

お母さんは他人事だった。

私は迎えに行きたくないですって伝えたって言ってた。

この女はどうしていつも自分を棚に上げて他人事として生きていけるんだろうって思った。

お兄ちゃんも、あっそうなんだうける、みたいな感じだった。

お父さんいなくて平和だね、みたいな感じだった。

私もそうしてたし、そうも思った。

 

でも、やっぱり、本当はすごく悲しかった。

誰にも言えなかった。

お父さんがかわいそうって思った。

胸が痛くなった。

でも、誰にも言えなかった。

 

 

お父さんは、いつも見てるとひやひやした。

私が小さい時に裏の竹林を掃除してた時に、のこぎりで指を4本切っちゃって、

血まみれで帰ってきた時があった。

私は血の気が引いて、すごく怖かった。不安だった。

他にも、高校くらいの時に、お母さんが火を消し忘れたせいで鍋かなんかが爆発して火が出た。

お父さんはそれを素手で止めて、手に大やけどを負った。

 

 

そういうのがいつも、私の心を不安にさせた。

いつか死んじゃうんじゃないか、お父さんが苦しくて痛い思いをして、ものすごく泣いて、そのまま死ぬんじゃないか、

そうなったら、そうなったら・・・そう考えると、倒れそうになった。

 

 

こういうのも誰にも言えなかった。

 

 

お父さんが逮捕されてる間に、お母さんとしゃぶしゃぶ食べ放題に行った。

私は、いなくて最高、という自分でいた。

でも、本当は違った。

 

思い出せば出すほどいろんなことを思い出して悲しくなる。