小学校⑧

・私はいつも、どこまでも相手が自分を追い込んで最低最悪な事を
 もっと私にやって、傷付けてくるんだろう、
 もっとやれもっとやれ、という自分がいた。
 でもその自分に気づいてしまったら、バレちゃう気がして、
 辛い辛い、って落ち込んでる私が常に前にいた。
 私は相手にどこまでも自分にひどい事をさせて何がしたかったんだろう。
 きっと、一生許される事がないくらいの罪人に追い込んで、
 一生罪悪感に襲われるくらいの反省と謝罪をさせるとともに、
 これだけ私を傷つけたという事を目の当たりにさせたかったんだと思う
 人として最低で、こんなにも最悪な事をしてきた人として
 みんなに処刑されることを願っていたのだと思う
 私はそれくらいずっと、人への憎しみと怒りでいっぱいだった。

・卒業式は無事に終わった。体重はだいぶ戻ったけど、前よりもやっぱり痩せてた。
・そういえばみきちゃんのお母さんが心配して、メゾピアノのトップスをくれた。
・覚えてないけど、多分、退院してすぐ卒業式だったと思う
・みんなに心配された
・階段に上るだけで肩を組まれて心配された
・私は病気になりたてで、コントロールが全然できなかったから、
 卒業式で倒れないように、クッキーを食べた。
 あいかちゃんが、甘い匂いがすると思ったらかなちゃんだったのね、って、
 私の病気を受け入れてくれる感じで話しかけてくれた。
 あんた、そんなキャラやったっけ、と思った。
 なんか、みんな、優しい。とても違和感、居心地がよくないって思った。
 みんなと写真とって、無事に終わった。
 地獄の小学校生活が終わった。とても疲れた。
・家では、私の病気がきっかけでお父さんとお母さんが喧嘩するようになった
 すごく、嫌だった。
 お父さんは、お母さんの育て方のせいだって怒って、
 私には、遊びすぎ、ゲームのしすぎ、PCしすぎ、姿勢が悪かったから
 とかいろいろ言ってきて、いつも責められた。
 お父さんの子なのになんで病気になるのって言われた。
 かなちゃんが病気になって、お父さん、すごくかわいそうなのって言われた
 この言葉を言われた瞬間をずっと覚えてる
 悲劇が大好物な私でも、静かな殺意が芽生えた。
 あの時、包丁で刺しとけばよかった
 でもこいつは、私が何を言っても、叫んでも怒っても主張しても
 私の気持ちなんて1mmも分からなくて、
 私は責められて怒られて恥をかかされるだけだったから
 何もできなかった。
 静かな殺意は通り過ぎて、私はまた無になるだけだった
 その反面、どこまでもこんな思いをする自分にも酔ってた。
・1番上のお兄ちゃんが、Docomoに就職したから、それと一緒に携帯を買ってくれた。
 すごく嬉しかった。
・退院してからお父さんは、私に毎日、足湯とお父さんのマッサージを強要した
・私は嫌だったけど、するしかなかった。だって断ったら怒られるだけだから
 もうなんか、めんどくさかった。いったところで。だった。
・お父さんは私をマッサージする時に、よく私を責めてきた。
 それか、整体やってた時の自慢話か、なんかどうでもいい話をしてきた。
 肩も背中もガッチガチな私にぶちぎれてきた時もあった。
・なんで私、怒られてたんだろう。
 なんで私が悪い事になってたんだろう
 今だから全部わかるけれど、だからこそ今思い出すと、
 あの時に抹殺した自分の殺意がよみがえってきてお父さんを殺したくなる
・なんであんたたちのせいでこうなったのに
 私は怒られて責められたんだろう
 今だからこそ、本当に地獄だったんだなって分かる
 あの時は地獄にいることさえ分からなかった。

 

・私は逃げる事も怒る事もNOと言う事も、
 みんなにばらすことも、相談する事も、
 暗黙にできなかった。
 だから、お父さんとお母さんが私を徹底的に傷つけた時に
 いつもなぜか快感を感じてた。
 私はちゃんと傷つけられてる、大丈夫、そんな声がしてた。
 こいつらが最低、私はかわいそう
 って、自分の中でそう思ってた。
 心のどこかで、私を死ぬ寸前まで追い込んで、
 外の世界の誰かに気づいてもらって、
 お父さんとお母さんの悪事がみんなにばれて、
 世界のさらしの物になって、
 みんなが私に気づいて、なんてひどいことされてたの!!!!
 って私をかわいそうな目で見て、心配して、泣いてくれる瞬間を待っていた。
 でも心のどこかでは、お父さんとお母さんがバレてしまう事がこわくてたまらなかった
 悪者になってしまう2人に対して、かわいそう、って思う自分もいた
 よく分からなかった。ただ分からないまま生きてた。